
不死鳥の如き再誕:私たちはなぜ、自ら築いたNottaを「リセット」し、Notta Brainへと再構築したのか
業界トップの正確率で作業効率爆上げ!
著者:Ryan Zhang(Notta 創業者 兼 CEO)
2020年。私たちが手狭なオフィスでNottaの最初のコードを書き始めたとき、窓の外の世界はパンデミックによって静止していました。
対面での握手はZoomやGoogle Meetに取って代わられ、イヤホンはもはや「身体の一部」となっていました。
あの頃の私たちの想いは、至ってシンプルでした。それは、「声を、資産に変えること」。
私たちは1バイトでも文字起こし速度を速めることに心血を注ぎ、WER(単語誤り率)という壁に挑み続けました。精度を85%から90%、そして95%へと引き上げることに執着したのです。
当時のNottaは、いわば「忠実な速記士」でした。正確に書き起こしさえすれば、ユーザーは満足してくれる。そう信じて疑いませんでした。
しかし3年後、バックエンドに蓄積された数百万時間の録音データを目にしたとき、私はある種の「恐怖」に襲われました。
「私たちは膨大なデータを作り出したが、それに見合う価値を生み出せていないのではないか」という恐怖です。
ユーザーはすべてを録音しましたが、それを振り返る時間は果たして残されているのでしょうか?この問いが、私に2年間にわたる内省を促しました。
そして本日、皆様にご紹介する「新種」—— Notta Brainが誕生したのです。

これは単なるアップデートではありません。これまでの自分たちを否定し、灰の中から生まれ変わるような「自己変革(リ・インベンション)」なのです。
データの墓場と認知負荷
こんな経験はありませんか?1時間の会議を終え、1万文字もの書き起こし原稿が出来上がる。その文字の山を前にして、めまいを覚える。
本来は「聞き漏らし」を防ぐための録音だったはずが、そのデータそのものが、新たな心理的負担になってしまう。これは情報理論において「データ・ランドフィル(データの埋立地)」のパラドックスと呼ばれる状態です。
2020年から2022年にかけての「ツールの時代」、私たちはユーザーの不安を解消していたのではなく、単に「場所を移し替えていた」に過ぎませんでした。聴覚的な不安(聞き漏らし)を、視覚的な不安(読み切れない量)へと転嫁していたのです。
2023年、ChatGPTの登場は、夜空を切り裂く稲妻のように世界を変えました。
ビル・ゲイツ氏はこう記しています。「AIの発展は、インターネットや携帯電話の誕生と同じくらい根本的な意義を持つ。それは人々の働き方、学び方、そしてコミュニケーションのあり方を根底から変えるだろう」と。
この言葉は私の魂を揺さぶりました。AI時代の扉が開かれた今、Nottaは依然として、ただ文字を綴るだけの「録音ペン」であっていいのか、と。
業界の最初の反応は「チャット機能の追加」でした。あらゆるツールにチャットボックスが現れ、私たちも「Notta Chat」をリリースしました。しかし、それでは不十分でした。
「チャット」は本質的に受動的です。ユーザー自身が「何を問いたいか」を知っていることが前提だからです。しかし、複雑なビジネスにおいて最も困難なのは、答えを知らないことではなく、「何を知らないのかさえ分からないこと」です。疲れ果てたマネージャーにプロンプトをひねり出させること自体、一種の「認知コスト(認知税)」なのです。
補助から自律へ —— 「道具」の終焉

AI分野の権威アンドリュー・ン(Andrew Ng)氏は、私に啓示を与える概念を提唱しました。それが Agentic Workflow(エージェント型ワークフロー) です。
未来のAIは、単に質問に答えるLLM(大規模言語モデル)ではありません。「内省(Reflection)」「計画(Planning)」「ツール利用(Tool Use)」を自律的に行うインテリジェンス・エージェントであるべきだ、と彼は断言しました。
これこそが Notta Brainの本質です。 Notta Brainはもはや単なる道具ではなく、一つの Agent(自律型エージェント) です。
これまでは、あなたが「使用者」で、Nottaは「道具」でした。 これからは、あなたが「指揮官」で、Notta Brainは「参謀(チーフ・オブ・スタッフ)」となります。
私たちはRAG(検索拡張生成)技術を導入し、企業専用ナレッジベースを構築しました。 汎用的なAIは世界中の知識を持っていますが、あなたの同僚の名前も、プロジェクトの暗黙知も知りません。しかし、Notta Brainは知っています。まるで社歴10年のベテラン社員のように、蓄積された会議の記憶がその頭脳に刻まれているのです。
ビジュアルの勝利 —— 「読ませない」という設計
Notta Brainの設計思想には、一見すると逆説的な決定があります。それは、「ユーザーが文字を読む時間を最小化する」ということです。

研究によれば、脳が視覚情報を処理する速度はテキストの6万倍速いとされています。5,000文字の議事録を読み込むには15分かかりますが、一枚のマインドマップなら30秒で本質を掴める。
これが Notta Brainの核となる「ビジュアル化革命」です。
マインドマップの自動生成: 単なるキーワードの羅列ではなく、NLP技術によって論理構造を理解し、一目で全体像がわかるマップを描き出します。
スライド(PPT)の直接生成: 会議後、「報告用スライドは誰が作る?」という沈黙はもう生まれません。決定事項やネクストアクションを構造化し、プレゼンの骨子を自動で作成します。
構造化データの出力: 会話の中から売上額や成長率、期限を識別し、自動的にExcelシートへと整理します。
私たちは「読む量を減らす(引き算)」だけでなく、「情報の密度を高める(足し算)」を行っているのです。
フィジカル世界との接続 —— ハードウェアへの回帰
最も価値のある対話は、往々にして「オフライン」で起こります。廊下での立ち話、カフェでの議論……こうした瞬間を捉えるため、私たちは Notta Memoをリリースしました。
次世代カード型 AIボイスレコーダー
これは単なるレコーダーではなく、Device as an Agent(ハードウェアとしてのエージェント) です。オンライン・オフラインを問わず、すべての知恵を構造化データとして蓄積する「完全なループ」が、ここに完成しました。
結び:常に「人」のために
Microsoftのサティア・ナデラCEOは「Copilot(副操縦士)」という概念を提唱しました。 しかし私は、特定の領域において、私たちは Copilot から Autopilot(自動操縦) へ向かうべきだと信じています。
Notta Brainのビジョンは、「情報の整理」という労働を完全に自動化することです。 極端に言えば、私たちはあなたに「Notta」という存在を忘れてほしいとすら願っています。
あなたが意識的にアプリを開く必要すらなくなること。あなたはただ、人との対話に、創造に、そして決断に集中してください。記憶、整理、要約といった重労働は、舞台裏に潜む Notta Brainに任せればいいのです。
これは私たちの「自己変革」です。書き起こしだけの旧Nottaを、私たちは自らの手で脱ぎ捨てました。その先にある、真に人間を理解し、支える「知能の新種」を生み出すために。
Notta Brainの時代へようこそ。さあ、私たちの脳を「記憶」から解放し、より偉大な「思考」へと向かわせましょう。

Ryan Zhang(Notta 創業者 兼 CEO)