インタビュー記事

インタビュー記事の書き方|目的や執筆時の注意事項まで徹底解説

記事にはさまざまな種類がありますが、インタビュー記事の執筆は難易度が高いイメージがあります。

しかし取材で得た内容をインタビュー記事として掲載することで、その対象者が持っている独自の視点や考え方、想いを読者により鮮明に伝えることができます。

普段聞くことができない対象の生の声を伝えることができれば、読者の心を打ち、興味や関心を惹くコンテンツを提供できるでしょう。

本記事では、有益で魅力的だと感じていただけるようなインタビュー記事の書き方をご紹介します。

インタビュー記事を書く目的

インタビュー記事

インタビュー記事は記事の特性上、読者を惹きつけやすいコンテンツです。

オウンドメディアや他媒体に記事を掲載することで、多くの情報や想い、理念などを発信・拡散できます。

本章では、各種目的に沿った発信内容の違いについてご紹介します。

  • 顧客の声、活用事例

自社で取り扱っている商品やサービスを実際に利用している人や企業を対象として、各種フィードバックをもらう形でインタビューを行います。

読者は実際に使用した人の声を聞くことができるため、商品やサービスの使用感や効果を理解しやすくなります。

結果として、商品やサービスに対する購買意欲の促進、商品や会社に対する信頼性、評価の向上に繋がります。

  • 自社の採用、自社のブランディング

自社の社員や経営陣のインタビューを行うことで、普段外部が見聞きすることのできない、社内の雰囲気や会社のビジョンを発信・拡散できます。

とくに採用活動においては、自社の魅力を言語化して発信することが求職者へのアピールへ繋がり、魅力的な採用活動を展開できるでしょう。

自社を知ってもらうことで、求職者だけでなく取引を考えているクライアントに対しても、安心感や信頼感を持っていただけるかもしれません。

  • 新商品・サービスの宣伝

開発者や担当者にインタビューを行うことで、インタビュー記事を通して商品やサービスの特徴や開発背景を伝えられます。

商品を開発するにあたって立ちはだかった壁や、開発秘話などを記事に盛り込むことができれば、記事の中にストーリー性が生まれ読み応えのある記事を作成できます。

これにより、読者が新商品・サービスへの興味や理解を深めることができ、より効果的なブランディングや宣伝活動を行えます。

インタビュー記事の3つの種類

インタビュー記事は記事の形式の違いにより、主に3タイプに分かれています。

それぞれ特徴が違うため、インタビュー記事の作成を予定している場合は、掲載するメディアがどのような形式を利用したいか事前に決めておきましょう。

対談形式(Q&A形式)

インタビューと聞いてよく思い浮かぶ形式で、インタビュアー(取材する人)とインタビュイー(取材される人)が対談した内容を掲載していきます。

1対1の場合もあれば1対多数の場合もあり、1対多数の場合は座談会のような形を取ることがあります。

インタビュアーの質問内容とインタビュイーの回答内容どちらも記載していくため、読者が内容を理解しやすいです。

事前に質問内容を準備しておくことが多いため、欲しい情報が何かまとめておくことができます。

一方、話が盛り上がりすぎて情報量が多くなりすぎたり、熱が入りすぎたりして話が脱線してしまうこともあります。

記事を執筆する際、文体は「です・ます調」が多いですが、実際の会話を想起させるために話し言葉に寄せて執筆することも多いため、あまり硬すぎない文章表現がよく用いられます。

例文

在宅で仕事をする際、大変だと思うことはありますか?

仕事と育児の両立が大変です。我が家にはまだ1歳に満たない子どもがいるため、リビングで元気に声を出しハイハイしている中、隣の部屋で仕事をしていても集中できないことも。時にはヘッドホンで遮断してしまうこともあります。

そういった場合、どのように折り合いをつけていますか?

1人称形式(モノローグ形式)

インタビューで得た内容をもとに、インタビュアーとのやり取りを省いて掲載しているものです。

インタビュイーが一人語りをしているような文体で作成します。

インタビュイーの人柄や想い、エピソードなどを前面に押し出すことができるため、メッセージ性が高い記事を作成できます。

一方、話す内容が長く説明的になりがちになったり、インタビュアーの執筆した内容がインタビュイーの意図とずれてしまったりすることもあるため注意が必要です。

文体は「です・ます調」が多く、対話形式の文章ではないため記事全体をコンパクトにまとめやすいです。

例文

よく聞くとは思うんですが、仕事と育児の両立は大変ですね。我が家には1歳に満たない子どもがいるため、リビングで元気に声を出しハイハイしている中、隣の部屋で仕事に集中できないこともあります。時々ヘッドホンで遮断してしまうことも。

3人称形式(ルポタージュ形式)

他2タイプと大きく違う点が3人称形式にはあり、インタビュアーが取材した内容を執筆者がルポルタージュとして記事にします。

会話した内容以外の情報も執筆時に盛り込むことが多いため、論理的で硬い文体になりがちです。

他2タイプと違い、インタビュー時のインタビュイーの表情や仕草なども記事の中に盛り込む形式で執筆し、かつ客観的・論理的な記事に書き上げることが多いです。

文体は「だ・である調」を使用することが多く、文章全体が硬いイメージになり、インタビュイーの想いや情熱などが伝わりにくくなる場合があります。

執筆の難易度が高いと感じる人もいるかもしれません。

例文

普段から在宅で仕事をされている○○さん。悩みは仕事と育児の両立だ。1歳に満たない子どもがいるため、リビングで元気に声を出しハイハイしていると、たとえ隣の部屋だったとしても仕事に集中できないことがある。「たまにヘッドホンで音を遮断してしまうこともある」と、少し奥さんに対して申し訳なさそうに話していたのも印象に残った。

取材からインタビュー記事作成までの流れ

インタビュー記事の作成は、取材より前の事前準備の段階から用意を怠らないよう心がけることが大事です。全体的な流れを解説します。

1.インタビュー記事の企画立案

どのような記事を執筆するのか、まずは企画立案を行います。

記事の柱であり土台でもあるため、丁寧に立案することをおすすめします。

立案をする際はまず、ターゲットとなる読者がどのような答えを求めているのかを明確に定めることが大事です。

例えば、ITツールを販売しているサイトに掲載する記事であれば、機能や性能は金額に見合う内容か、サポートは充実しているかなどの情報を知りたいと考えられます。

導き出される記事のゴールとして「金額に見合った性能の紹介」「他社に劣らない性能はどこか」「どういったサポート体制を敷いているか」などを設定することができます。

インタビュー記事を作成する目的、読者のターゲット層はどこか、もっとも伝えたい内容は何か、などを決めておきましょう。

2.取材対象の選定およびアポイント

企画立案が完了したら、企画に沿った取材対象となる企業・人を選びます。

たとえば求職者に向けた若手社員の紹介をするのであれば、入社して3年前後の社員を対象とします。

アポイントを取る際は相手に失礼がないように注意が必要です。

インタビューは相手の時間を割いていただく行為だということを忘れないようにしましょう。

3.対象のリサーチ

インタビュー当日までに、インタビュイーに関する情報をリサーチします。

  • 人であるならどのような人なのか

  • 商品であるならどのような商品なのか

  • 企業であればどのような企業なのか

インターネットや書籍で調べることができる内容は全て事前に調べておきます。

調べれば分かることをわざわざインタビュー時に聞く必要はありません。

事前にどれだけリサーチしておくことができるかが、インタビューの成功の鍵を握っていると言っても過言ではないです。

以下に記す媒体を利用し、リサーチできることは全てリサーチしておきましょう。

  • 対象のメディアやブログ

  • 対象に関する書籍

  • 対象のSNS

  • 他媒体で過去に受けたインタビュー内容

  • 講演会や発表会などへの参加

4.インタビュー時の質問作成

リサーチして得た情報をもとに、質問内容を考えます。

1回のインタビューにおいてよく設定される時間は1時間であり、1時間のうち質問可能な数は平均10個であるため、これを基準として質問内容を考えていきます。

実際にインタビューをする時間に合わせ、質問個数の調整は行いましょう。

作成する質問内容は「必ず聞きたいこと」以外にも、時間の調整ができるように「時間があれば聞くもの」を用意しておきます。

インタビュー時は予定通りに進まないことが往々にしてあります。臨機応変に対応できるように、質問内容の分類は考えておきましょう。

質問内容を決定したら、インタビュイーやその他関係者へ共有をしておきます。

事前に共有をすることで、口外ができない内容が盛り込まれているか確認することができたり、追加で入れてほしい質問を教えていただけたりもします。

5.インタビューを行う

インタビュー当日は、作成した質問内容に沿って進めていきます。

アイスブレイクをうまく使い気持ちよく話してもらえるような雰囲気を作り、楽しくインタビューを行いましょう。

時間の調整は大事ですが、雑談や脱線した話の中から興味深いエピソードが聞けるかもしれません。

多少は時間を気にしつつも、雑談や脱線にもしっかりと耳を傾けていきましょう。

ほかにも「必ず聞きたいこと」を忘れずに聞くことは大事ですが、主役はインタビュイーです。お互いが気持ちよく会話できるように心がけましょう。

インタビューの際は、相手に許可を取った上で録音してください。録音は記事を執筆する上でとても重要です。

オンラインでインタビューを行う場合は、回線が途中で切れるリスクがあることを念頭に置いておく必要があります。

オンラインでの環境に不安がある場合は、インタビュー前に払拭しておくことが大事です。

インタビューを無事に終えたら、記事を執筆していきます。

インタビュー記事の書き方

インタビュー後は記事の執筆に移ります。

インタビュー記事を書く際にもっとも大事なのは、なるべくインタビュー後まだ記憶が鮮明なうちに執筆を行うことです。

インタビュー時間が短い場合は記憶力を頼りに一度に執筆をしたり、録音データを聞きながら執筆してもよいでしょう。

しかしインタビュー時間が長ければ長いほど、効率よい書き方を実践したほうがスムーズに執筆を行えます。

以降より手順や注意点を踏まえながら解説します。

1.文字起こし

インタビュー後はまず、録音データの文字起こしを行います。

録音データを聞きながら執筆しても構わないのですが、聞き直したい部分などを探して再生を繰り返すなど、録音時間が長ければ長いほど操作に時間がかかり効率が悪くなりがちです。

そのため、執筆前に録音データを文字起こししておくことは有効な手段です。

文字起こしの際はケバ取りまでは行っておくことをおすすめします。

録音時間が長ければ当然文字起こしに要する時間も長くなるため、文字起こしツールを利用するなどして作業の効率化を図るのもよいでしょう。

2.記事構成を考える

企画立案の際に、記事のコンセプトを決めているため、コンセプトに沿った構成を考えていきます。

記事構成をもとにインタビューの質問を考えるようにしていますが、実際インタビュー時は質問内容以外の会話も多いため、さまざまな情報を仕入れることになります。

全ての情報を記事に盛り込む必要はないため、記事のコンセプトから離れている内容は省くことも必要です。

インタビュー全体を盛り込むのか、ある程度取捨選択するのかは、記事のコンセプトやボリュームを参考にしつつ考えておきます。

読者に魅力的で読み応えのある記事だと思ってもらえるような構成を考えましょう。

3.記事の執筆

実際に執筆する際は、記事の構成に沿って文字起こしした内容を整理します。

人と話をするときは時系列が少し前後することもあれば、口語での言い回しが文章を書く際にはそぐわないこともあります。

そのため、読者が読みやすいように順序を適宜修正し、口語の部分を文語に書き直しながら執筆していきます。

しかし、過度な修正によりインタビュイーが語った話の意図や想いがねじ曲がってしまうことがないように注意してください。

執筆時は以下の点にも注意しながら執筆を進めてみてください。

  • 主語・述語を適宜追加する

  • 主語・述語が離れすぎないようにする

  • 一文を短くする

  • 助詞を適宜追加する

  • 冗長な表現、重複した表現にならないようにする

  • 指示代名詞が多すぎないようにする

4.データの裏取り

インタビュイーが話した具体的なデータや数値などは、裏取りをしておく必要があります。

記憶の中と実際のデータや数値に相違が出ることもあるため、再度確認を行い正確な情報を掲載するよう心がけてください。

後述しますが、インタビュイーに確認をしていただく意味も込めて、執筆後は原稿の共有を行いましょう。

5.校正・校閲

執筆が完了したら、誤字脱字など記事執筆の際に必要な基本的なチェックを欠かさず行いましょう。

インタビュイーが話す内容は、本人が専門としている分野であることも多いため、専門用語が飛び交うことがあります。

読者は必ずしも専門用語が理解できるとは限らないため、分かりやすい単語に書き換えたり、注釈を入れたりするなどの工夫をすることがおすすめです。

可能であればインタビュイー以外に、執筆者の上司や同僚、相手企業の広報の方などといった第三者にもチェックをしてもらいましょう。

第三者がチェックを行えば、読者と同じ目線でより客観的なチェックを行えます。

もし全工程をひとりで行う必要がある場合は、日を跨いでチェックしなおすなどの工夫をするとよいでしょう。

6.取材対象にチェックを依頼

チェックまで完了したら、取材対象に最終チェックを依頼してください。

実際に執筆した内容の中に、実は口外してほしくなかったオフレコの内容が含まれていることもあります。

可能な限り一度は目を通してもらえるようにお願いをし、両者が納得のいく記事に仕上げていくことが大事です。

チェック後修正依頼があれば適宜修正を行い、全員が納得のいく記事に仕上がるように心がけましょう。

読みやすいインタビュー記事を書く際のポイント

記事を書く際は、以下のポイントを意識することでより読まれやすい記事にすることができます。

  • インタビュー当日は楽しくインタビューを行う

記事執筆以前のことですが、インタビュー内容は充実していたほうが執筆もしやすくなります。

そのため、インタビュー当日は楽しく話せるように場の雰囲気作りにも気を配り、インタビュイーが気持ちよく話せるように心がけましょう。

  • 記事前半にはインタビュイーの情報を記載する

読者が読み進めやすいように、記事前半にインタビュイーの情報や企業の情報を記載しておきましょう。

インタビュイーの背景を知った状態で読み進めることで、より以降の記事内容を惹きつけることができます。

  • 記事にストーリー性を持たせる

例えば対象が人である場合、過去・現在・未来に沿ってエピソードや今後の展望を書いていくことで、記事にストーリー性を持たせることができます。

対象が商品である場合は、開発前のエピソードや狙い、展開後の反響など時系列に沿って書くことで、より読者を惹きつける記事を書くことができるでしょう。

  • 話し言葉を書き言葉に

日本語において話し言葉は多くの単語が省略されます。

主語を省略したり、助詞を省略したりしても話の前後関係により内容が伝わるためです。

しかし話し言葉のまま文章を書いた場合、読みにくくなってしまうことが多いです。

そのため、執筆時は話し言葉(口語)を書き言葉(文語)に書き換える工夫をしましょう。

  • インタビュイーの言葉を活かす

インタビュー記事のメリットは、インタビュイーの発信内容を掲載することにより独自性があることです。

可能な限りインタビュイーが話した言葉は活かすように心がけましょう。

話し言葉を書き言葉に変える工夫をするようにおすすめしていますが、インタビュイーが話した言葉の流れなどはそのままに、発言意図が汲めるような修正を行うことが大事です。

  • インタビュイーの人柄がわかるようにする

記事を読めばインタビュイーの人柄が感じられるような内容にすることで、読者が親近感を持って読み進められることになります。

上述したインタビュイーの言葉を活かしたり、ストーリー性を持たせたりすることで、その人が近くで話しているのを感じられるような文章に仕上げていきましょう。

可能であれば、文中にインタビュイーの写真を挿入するのもおすすめです。

まとめ

インタビュー記事は記事の特性上、読者を惹きつけやすいコンテンツです。

インタビュー前の事前準備から記事を仕上げるまでに、多くの時間を要する必要がありますが、その分多くの情報や想い、理念などを発信することができます。

クオリティの高いインタビュー記事は、企業やメディアのブランド力の底上げに繋がります。

ぜひ積極的にインタビュー記事に挑戦していきましょう。

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