日々繰り返されるルーティンワーク、部署をまたがる煩雑な情報共有、そして「あのデータ、どこにあったっけ?」と探す時間…。ビジネスの現場では、多かれ少なかれ、このような非効率さに直面する機会は珍しくありません。

デジタル化が進む現代において、これらの課題を解決し、業務を劇的に改善するためのツールとして注目されているのが、クラウドサービス「kintone(キントーン)」です。

今回は「kintone」に焦点を当て、その概要や特徴・主な機能、できないこと、メリット・デメリット、注意点、具体的な活用事例、導入を成功させるためのポイント・失敗しないための対策、料金プランなどについて解説します。現在kintoneを利用している方や、今後利用を検討している方はぜひご一読ください。

kintoneとは?

(出典:kintone

kintoneとは、サイボウズ株式会社が提供するノーコードで業務アプリを作成できるクラウド型の業務改善プラットフォームです。プログラミングや専門的な開発知識がなくても、ドラッグ&ドロップ操作で自社の業務に合わせたオリジナルアプリやシステムを短時間で作成・運用できます。

kintoneの特徴・主な機能

ここでは、kintoneの特徴・主な機能について7点ご紹介します。

1.ノーコード・ローコードでのアプリ開発

プログラミングの知識がなくても、ドラッグ&ドロップやマウス操作で業務アプリを簡単に作成できます。標準機能の範囲であればノーコード、より高度なカスタマイズにはローコードも可能です。部署・業種別に100種類以上のテンプレートが用意されており、導入後すぐに利用できます。

2.情報の一元管理と共有

チームや仕事に必要なあらゆる情報、例えば顧客データや案件の詳細、売上、プロジェクトの進捗状況などを一元的に管理し、リアルタイムで共有できます。これにより、業務全体が可視化され、仕事の質とスピードが向上します。

3.ワークフロー・プロセス管理機能

申請・承認業務など、業務の一連の流れをkintone上で設定・管理できます。複雑な承認フローにも対応しており、ペーパーレス化や業務の標準化に貢献します。

4.コミュニケーション・コラボレーション機能

各データに対してコメントを書き込めるため、情報にひもづいたコミュニケーションが可能です。チームやプロジェクトごとに専用の「スペース」を作成し、その中で情報共有やコミュニケーションを行えます。

5.モバイル対応と多言語対応

スマートフォンやタブレットからもアクセスできるモバイルアプリが提供されており、外出先や移動中でも業務を行えます。グローバルなビジネス展開にも対応できるよう、多言語に対応している点も魅力的です。

6.セキュリティ・アクセス管理機能

アプリ単位やレコード単位、フィールド単位で、閲覧や編集のアクセス権をユーザーや組織ごとに細かく設定できます。クラウドサービスとしての堅牢なセキュリティ対策が施され、情報漏洩リスクの軽減に役立ちます。

7.柔軟なカスタマイズと連携

連携APIを利用したり、外部サービスや基幹システムとデータを連携させたりすることで、その機能を大きく拡張できます。現在、300種類以上のプラグインや連携サービスが公開されており、ニーズに合わせて柔軟なカスタマイズが可能です。

kintoneができない・苦手なこと

kintoneは多機能で柔軟なプラットフォームですが、万能ではありません。以下にkintoneで「できないこと」「苦手なこと」について3点ご紹介します。

1.高度なデータ処理・分析

kintoneの標準機能では、複数のアプリにまたがってデータを統合したり、複雑な集計を行ったりできません。また基本的な計算はできますが、Excelのような複雑な関数や、回帰分析、高次元データの処理といった専門的な統計処理も苦手です。

2.大規模データの取り扱いに関する制限

数百万件以上のデータを一度に処理するような、極端に大量のデータ処理には限界があります。また、kintoneのストレージ容量は契約者数×5GBが基本です。これ以上の大容量データを扱う場合は、別途オプションやプラグインが必要になることがあります。

3.汎用的なWebサイト・Webアプリケーション開発

kintoneは業務アプリの作成に特化しているため、一般的なWebサイトや、UI/UXデザインに強いこだわりを持つWebアプリケーションのように、完全に自由なデザインやレイアウトを実現することは苦手です。特にゲームのようなリアルタイム性の高い処理や、複雑なグラフィックを扱う開発には適していません。

kintoneを導入するメリット

ここでは、kintoneを導入するメリットについて3点ご紹介します。

1.業務効率化と生産性向上

業務フローの自動化や集計作業の効率化、現場主導での業務改善が進みやすくなり、組織全体の生産性向上に寄与します。例えば、ワークフロー機能では、申請・承認業務をkintone上で行うことで、紙でのやり取りやメールでの確認の手間を削減。指定された期日が迫っている場合などに自動でアラートを通知する設定もでき、業務の抜け漏れを防ぎます。

2.コミュニケーションの円滑化

コメント機能や社内SNS機能により、業務にひもづいたコミュニケーションが活発になり、情報伝達の漏れや属人化を防げます。アプリのデータに対して直接コメントをつけたり、社内SNSのような機能で意見交換をしたりできるため、関連情報とコミュニケーションが一体化し、やり取りがスムーズになるでしょう。

3.セキュリティと安定性

クラウドサービスとしてアクセス権限の細かい設定や高度なセキュリティ機能により、情報漏洩リスクを低減できます。

【主なセキュリティ対策】

  • 端末認証(クライアント証明書)

  • 2要素認証

  • 細かい操作権限設定

  • 通信の暗号化

  • 監査ログ・ヒューマンエラー対策

  • 災害・障害対策

  • 外部評価・認証

  • IPアドレス制限

kintoneの導入で考慮すべきデメリット・注意点

kintoneの導入は多くのメリットをもたらしますが、同時に考慮すべきデメリットや注意点も存在します。これらを事前に把握しておくことで、よりスムーズで効果的なkintone運用が可能になります。

1.アプリの乱立と管理の複雑化

誰でも簡単にアプリを作成できる反面、全体設計を考慮せずにアプリが増えすぎると、どこに何のアプリがあるか分かりづらくなり、管理や運用が煩雑になります。データの重複入力やミスが発生しやすくなるため、アプリ作成のルール策定や管理体制が重要です。

2.拡張・連携にはコストや手間がかかる

標準機能で足りない場合、プラグインや外部連携サービスの導入が必要ですが、これらは追加費用が発生します。また、アプリ同士の連携設定や外部システムとの連携には手間がかかり、設計や運用の工夫が求められます。

3.複雑なカスタマイズには専門知識が必要

kintoneはノーコード/ローコード開発ツールですが、標準機能では実現できないような複雑なビジネスロジックや、既存システムとの高度な連携、独自のユーザーインターフェース(UI)の実現には、JavaScriptによるカスタマイズやAPIの知識が必要になります。社内にこれらの知識を持つ人材がいない場合、外部の専門業者に依頼する必要があり、開発コストや時間がかかる可能性があります。

kintoneの具体的な活用事例

kintoneは業種・業態を問わず、さまざまな業務で活用されています。ここでは、具体的な活用事例を部門別・業種別でいくつかご紹介します。

1.業種別活用事例

・製造業

  • 工程管理・進捗管理のデジタル化:紙やエクセルでの工程管理をkintoneアプリで一元化し、リアルタイムで進捗やステータスを共有。現場の状況を即座に把握でき、納期遅延や手戻りの削減に直結

  • 在庫・品質・図面管理:在庫や図面、品質データをクラウドで一元管理。属人化を防ぎ、誰でも最新情報にアクセス可能。品質トラブルの早期発見や在庫ロスの削減も実現

  • ペーパーレス化・情報共有の迅速化:製造日報や指示書、点検表などをデジタル化。現場と本社、海外拠点間でもリアルタイムに情報共有が可能

・医療・介護業

  • 介護記録のデジタル化:手書き記録をkintoneアプリ+タブレット入力に切り替え、記録入力時間を削減。利用者と向き合う時間が増加

  • 訪問介護・訪問看護のスケジュール・情報管理:利用者台帳やカレンダーアプリで訪問予定・申し送り事項を一元管理。担当職員が変わっても情報の引き継ぎがスムーズ

  • 申請・面会管理などの業務オンライン化:施設への各種申請・面会予約をアプリ化し、手続きの効率化・ペーパーレス化を実現

・サービス業・小売業

  • 店舗日報・売上管理:各店舗の日報や売上・客数・クレーム情報をリアルタイムで共有。経営分析や売上動向の可視化、スタッフ間の情報共有がスムーズに

  • 顧客・予約管理:電話予約やWeb予約を一元管理し、予約の重複や取りこぼしを防止。顧客フォロー業務の改善につながる

  • クレーム・問い合わせ対応:コールセンターや店舗での苦情・問い合わせ対応をkintoneで可視化し、対応漏れ防止や品質管理に活用

2.業務別活用事例

・営業・顧客管理

  • 顧客情報の一元管理と共有:

Excelなどでバラバラに管理されていた顧客情報をkintoneに集約し、社内全体でリアルタイムに共有。顧客との過去のやり取りや案件履歴、担当者情報などを一画面で確認できるようにすることで、引き継ぎをスムーズにし、対応漏れを防止

  • 案件管理の効率化:

案件の進捗状況、担当者、見積もり状況などを可視化し、チーム全体の状況を把握。コメント機能で案件に関するコミュニケーションを一元化し、情報共有をスムーズに。見積書作成や申請業務をkintone上で完結させ、ペーパーレス化と承認スピードの向上を実現

  • 営業活動の可視化:

日報アプリで営業担当者の活動状況や成果をリアルタイムに共有。グラフ機能で担当者別の案件数や売上予測などを可視化し、データに基づいた戦略立案を支援

・人事・労務

  • 人事情報の一元管理:

社員名簿や評価情報、スキル情報などをkintoneで一元管理し、紙媒体での管理から脱却。部門をまたいだ申請やタスクの可視化により、進捗状況を一覧で確認

  • 採用管理の効率化:

応募者情報や選考状況、面接履歴などをkintoneで管理し、採用プロセスをスムーズに。内定者とのやり取りをkintoneアプリに移行し、書類提出状況などを視覚的に把握

  • 勤怠・労務管理の効率化:

日報アプリや勤怠連絡アプリで部員の勤務・業務状況を可視化。労務向けのメールをkintoneにアーカイブし、情報蓄積と類似事例の共有を実現

・総務・経理

  • 備品・資産管理:

社内備品や消耗品の在庫状況を管理し、自動で在庫数を計算。不足しがちな備品を事前に把握し、発注作業を効率化

  • 申請・承認業務のペーパーレス化:

交通費申請や物品購入申請、各種社内稟議などをオンライン化。申請状況の可視化、リマインド通知設定により、処理忘れを防止

  • 契約書管理:

契約書の作成依頼から、作成した書面の添付、確認まで一貫してkintoneで管理。押印のために出社が必要だった業務もオフィス外で行えるように

kintoneの導入を成功させるためのポイントと失敗しないための対策

kintoneの導入を成功させ、失敗を避けるためには、単に製品を導入するだけでなく、戦略的な計画と継続的な取り組みが不可欠です。以下に主要なポイントと対策について3段階でまとめました。

1.導入前の準備と計画

成功ポイント失敗しないための対策
・「なぜkintoneを導入するのか」「kintoneで何を解決したいのか」「導入後の具体的な目標は何か」を具体的に設定し、関係者間で共有する ・導入する業務の現状フローを詳細に把握し、どこにボトルネックがあるのか、kintoneで解決できる課題は何かを明確にする ・導入コストと、導入によって得られる効果を具体的に見積もり、費用対効果をシミュレーションする・「とりあえず便利そうだから」といった曖昧な理由での導入は、使いこなせずに終わる原因に。具体的な課題と解決策を結びつける ・特定の部署だけの視点に偏らず、関連部署の意見もヒアリングし、部門間の連携も考慮した計画を立てる ・kintoneは万能ツールではないため、できないことや苦手なことも理解した上で、現実的な目標を設定する

2.推進体制と役割分担

成功ポイント失敗しないための対策
・導入プロジェクトをリードし、意思決定を行い、各部署との調整役を担うリーダーを明確にする ・経営層からのコミットメントも意識する ・導入後の問い合わせ対応、トラブルシューティング、操作説明会などを実施できる体制を整える・現場の業務を知らない情シス部門だけで導入を進めると、現場のニーズに合わないアプリになりがち。現場からの積極的な参加を促す ・導入後の運用や改善を見据えた体制を構築しないと、形骸化するリスクもある ・特定の担当者だけがkintoneに詳しい状態は、その担当者が異動・退職した際に問題が生じるため、複数人での情報共有やスキル平準化を図る

3.導入後の運用と定着化

成功ポイント失敗しないための対策
・操作説明会やQ&Aセッション、マニュアル作成、ユースケース紹介など、継続的な教育機会を提供する ・社内でkintone活用による成功事例を積極的に共有し、他の部署にも広げていくことで、全社的な利用促進を図る ・導入後の利用状況、目標達成度を定期的に評価し、課題があればアプリの改修や運用方法の見直しを行う・導入はスタート地点であり、その後の運用と改善がkintone活用成功の鍵 ・一方的に「使ってくれ」と押し付けるのではなく、「なぜ使うのか」「使うとどう便利になるのか」などを伝えてサポートする ・慣れたExcelや紙での作業から新しいツールへの移行には抵抗がつきもの。メリットを丁寧に伝え、段階的な移行を促す

kintoneの料金プラン

kintoneの料金プランは、主に以下の3つのコースに分かれています。

項目ライトコーススタンダードコースワイドコース
月額料金(1ユーザーあたり、税抜)1,000円1,800円3,000円
年額料金(1ユーザーあたり、税抜)12,000円21,600円36,000円
最小契約ユーザー数10ユーザー10ユーザー1,000ユーザー
主な利用者層小規模チーム、シンプルな業務中小企業、部門単位の業務、多くの企業が利用大規模企業、全社的な活用、多数のユーザー
アプリ数上限200個1,000個3,000個
スペース数上限100個500個1,000個
ディスク容量5GB × ユーザー数5GB × ユーザー数5GB × ユーザー数
外部サービス連携不可
プラグイン利用不可
JavaScript/CSSによるカスタマイズ不可
API利用不可
無料お試しなし30日間無料お試しありなし

オプション費用としては、以下の通りです。詳細は公式サイトを確認しましょう。

kintoneとAI文字起こしサービス「Notta」との連携でさらに効率化

(出典:Notta

kintoneとAI文字起こしサービス「Notta」を連携させることで、会議や商談、インタビューなどの音声・動画データを効率的にkintone上に蓄積・活用できるようになり、さらなる業務効率化が期待できます。

【kintoneとNottaとの連携で得られるメリット】

  1. 文字起こしされた議事録や要約を直接kintoneのアプリに同期できるため、会議終了後すぐに内容を共有できます。これにより、関係者は常に最新の情報にアクセスでき、迅速な意思決定や次のアクションに繋げられます。

  2. 会議中の発言がすべてテキストデータとして残るため、細かいニュアンスや決定事項、検討過程などが抜け漏れなく記録されます。これにより、「言った言わない」の認識齟齬を防ぎ、情報の信頼性が向上します。

  3. kintoneに蓄積された文字起こしデータは、kintoneの検索機能でキーワード検索が可能。過去の会議や商談の内容から特定の情報を探す際に、膨大な資料の中から手作業で探す手間を省けます。

まとめ:kintoneを活用して日々の業務を効率化・生産性の向上へ!

今回は「kintone」に焦点を当て、その概要や特徴・主な機能、できないこと、メリット・デメリット、注意点、具体的な活用事例、導入を成功させるためのポイント・失敗しないための対策、料金プランなどについて解説しました。

kintoneでは、プログラミングの専門知識がなくても、ドラッグ&ドロップの直感的な操作で業務アプリケーションを自由に作成・改善できます。これにより、営業管理や顧客管理、プロジェクト管理、情報共有など、企業内のあらゆる業務プロセスをデジタル化し、効率化することが可能です。

もし、日々の業務に非効率さを感じていたり、情報の散在に悩まされていたりする場合は、ぜひkintoneの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

Chrome拡張機能10選

Nottaが選ばれる理由は?

① 日本語特化のAIで業界トップの文字起こし正確率が実現、複数言語の文字起こしと翻訳も完璧対応

② 驚いほどの認識速度で文字起こし作業効率化が実現、一時間の音声データがただの5分でテキスト化

③ 国内唯一のGM・Zoom・Teams・Webex連携できるAI会議アシスタント、事前の日程予約から会議を成功に導く

④ AI要約に内蔵されるAIテンプレートで会議の行動項目、意思決定やQ&Aなどを自動作成
(カスタム要約テンプレートでインタビューや営業相談など様々のシーンでの効率化を実現)

⑤ 一つのアカウントでWeb、APP、Chrome拡張機能が利用でき、データの同期と共有はカンタン

decoration
decoration